元海上自衛官が語る民間船への転職体験談と自衛艦との比較

⚓こんにちは、ひこやんです。当ブログではアフィリエイト広告を利用しております。

それではごゆっくりとご覧ください。

海上自衛隊での経験を活かして民間船への転職を考えているあなたへ。

これから民間船や海上自衛官を目指すあなたへ。

約20年間の自衛官生活を経て民間船員に転身した私が、実際の体験を通じて感じたリアルな違いをお伝えします。

給料や休暇制度、働き方の変化など、転職を検討する上で知っておくべき重要なポイントを包み隠さず公開。

自衛隊での安定した環境から民間の世界へ飛び込むことへの不安や疑問を、具体的な数字と実体験をもとに解決していきます。あなたのキャリア選択の参考になれば幸いです。

海上自衛官から民間船へ転職するまでのステップ

転職のきっかけ

紹介のとおり、私は約20年間務めた海上自衛隊を中途退職し、民間の海運会社に就職し、民間船に乗ってます。

友人や周りの方から一番言われたのが「長く頑張ってきて、公務員で安定してるのにもったいない」でした。

おっしゃるとおりです、(笑)普通に家族を養っていくには、そのまま務めたほうがいいのかもしれません。

上の立場になればなるほど、自分を押し殺して、思ってもないことを教えたり、指示を出したりと、なんでことしてんのかな~って思うけど、それが仕事だからって自分に言い聞かせてなんとかしのいできたけど、あぁこれがあと10数年続くのか~って考えると…。

海上自衛隊という組織について、詳しく書くことはできませんが、いろいろ難しいところです。

要するに、これ以上仕事のモチベーションを保つことができませんでした。

少々テキトーに仕事して、プライベートを充実させればいいとか思ったりしたけど、性格上できませんでした。

これ読んで、みんなそうだよ~、どこに勤めても同じだよ~と思われると思います。

公務員で安定してるのにもったいないではなく、あと10数年自分をごまかして生きていき、そしてその後の人生においても、このままではもったいないと感じて、踏み切りました。

それならどうするか、というところで、海技の資格もあるし、船乗りの経験を生かして外の世界に、民間船行こうと人生の舵を切りました!

海上自衛隊で過ごした日々は、とても貴重でした。

転職前の準備

どのような勤務形態、給与体系、ライフスタイルが待っているのか、それにはなにが必要なのか、を調べました。

もともと、海技の資格は持っていたので、あとは特殊無線技士の講習と外航船にも対応できるようにEGDIS講習も取得しました。

これらはSECOJを利用して受講料は無料でした。

違う記事でも紹介しましたが、SECOJを知っている人はいますが、どのように利用していいのかわからない人が多いです。

現役自衛官の方は、まずは援護業務課に連絡してください、今すぐ転職でしない人でもかまいません。

SECOJを利用して、転職に向けての準備でこういう活動をします、と伝えれば担当の方が、それはオッケー、それはダメと教えてくれます。

このような転職活動の是非は、上司を含めみんなしたことがなく、言ってしまえば援護業務課と転職した人しか、わからないのです。

援護業務課の担当者から、退職の手続きの流れ、団体保険や貯金等の解約、提出書類のチェックリストを送付してくれます。

私の退職までの流れは、このような感じでした。

退職までの流れ
  • 上司に退職の意向を報告
  • 残りの年休、代休を使いまくる
  • 援護業務課に連絡
  • SECOJに登録
  • 必要な資格の受講を申し込む
  • 退職、転職の書類作成

事前に退職日、年休代休の処理(いつから取りたいか)、資格の取得、面接を受けようとする会社(適当でいいです)、家族の同意等、自分の強い意志を伝えたため、スムーズにいきました。

ひこやん

面接で引き止められると思いますが、誰も人の人生に責任取れませんからね。

民間船員として、新たな生活

民間船での生活は、自衛官とはまったく異なる環境でした。具体的には以下の点が大きな違いです。

生活の自由度

民間船では、自分の時間は自分だけのものであり、他の人からとやかく言われることはありません。

自衛隊では、いつなにをするにも規則があり、ここに大きなメリットを感じました。

勤務時間と休暇体系

民間では、休暇はじっくりと過ごせる環境が整っており、自衛隊でのような緊急出港の心配はありません。

事前にしっかりと計画を立てられるため、友人や家族との時間を楽しむことができています。

人間関係の柔軟性

民間船では、チームとしての結束は必要ですが、個々の意見が通りやすく、自分の考えを尊重してもらえる環境が整っています。

自衛隊での厳しい上下関係に代わり、よりフラットな関係で業務に取り組めています。

このように、海上自衛隊から民間船員へと転職した経験は、自分自身の新たな一歩を踏み出す大きな契機となりました。

新しい環境での挑戦を通じて、自らを成長させる貴重なチャンスが得られたと感じています。

これからの記事は、少々偏るかもしれませんが、決して海上自衛隊(以後、海自)を否定するものでもなんでもありませんので、あしからず。

カイくん

どっちがいいのかな~

ミルちゃん

自衛官のパリッとしたのもいいし
民間船の自由な感じもいいよね

ひこやん

そうじゃね、今からくらべてみるよ。

仕事面

護衛艦 現在
(749t型貨物船)
10人弱当直中のブリッジ(操船するところ)
(操舵、見張り、レーダー、通信等)
 1人
ブリッジ:10人以上
錨甲板(前部側)20人以上
出入港作業 ブリッジ:1人(船長のみ)
錨甲板(前部側):2人
毎日各訓練 年に数回
階級、入隊時期
厳しい、仲間意識
上下関係
対人関係
 年齢
尊重、仕事上だけの付き合い
膨大書類、報告書等 船長、機関長、1航士、1機士のみ

護衛艦

護衛艦はとても人数が多いので、作業1つするにしても人間関係が重要になってきます。

とにかくマンパワーは充実してるので、失敗しても誰かがカバーしてくれたり、全くバレなかったり(笑)少々二日酔いでも大丈夫でした、と思います(笑)

訓練も、毎日あります。とはいっても、走ったり、重いもの持ち上げたり~ではありません。

火事になったり、穴が開いて浸水したり、舵が壊れたり、霧で周りが見えなくなったり、人が転落したり、どっかの国と戦争になったりと、いろんな状況になっても対応できるように、普段から訓練してます。

火事や浸水したら、みんな集まって対処しようぜっ!じゃなくて、戦力を維持し任務を遂行しながら、必要な人員だけで対処します。

実際に火事が起きたときは、違いましたが…。あの訓練はいったいなんだったんだろう(笑)

対人関係についてですが、上下関係は厳しいです。よく階級社会と聞きますが「みそ汁飲んだ数が多いほど偉いんじゃ」って人はたくさんいます。

カイくん

強烈な上司とかおりそう( ;∀;)

ひこやん

今はもうおらんよ(笑)
パワハラ対策も力いれとるけんね!

そういう人はたいてい出世してません(‘ω’)早く出世して、そういう人たちを相手にしなかったらいいです。

普通に手を抜かずに真面目にコツコツやってれば階級は上がります。

150人くらい、多いときは200人近くいますので、常に誰かがいます。

仕事中も食事中も風呂も、ずっとです、個室なんてありません。

寝るときも3段ベッド(士官は2段ベッド)なので、上下の人が寝返りうったり、いびきとかも聞こえてきます。

団体生活に慣れている人は、早く順応できるみたいですが、やはり上下関係がありますので疲れると思います。

面倒見や仲間意識がとても強いので、無視されたり、のけ者にされることはありません。

なにをするにでも「一緒に飯並ぼうぜ」「一緒に風呂行こうぜ」みたいな、部活の延長のような感じです。

最初のうちは心強いしありがたいです。でも、毎日がそうじゃありませんよね( ;∀;)善し悪しです。

階級が上がるほど、書類関係の仕事量が増えます。航海が終わっても、めちゃくちゃ溜まってます、時には休日出勤も…。

ペンキ作業とかは、ほとんどやらなくなります( ;∀;)ペンキ塗りは無心になれるんで好きなんですけどね。

ひこやん

護衛艦は、団体競技みたいで
人間味があって、和気あいあい
わしゃ学生時代は野球部じゃったけん溶け込みも早かったかのぅ!

現在(749t貨物船)

限られた人数で作業をするので、1つの作業は1人でやります。

責任重大で1つのミスがそのまま全体のミスにつながります。

航海中もブリッジで1人です。

これは船長から任されたということなので、気は抜けません。

とはいいつつも広い海域で船舶もいないのであれば、ワッチ中にスクワットしたり、懸垂したりしてます。踊ったり歌ったり♪
出入港作業は、前部側(オモテ)に2人のみで、1航士(チョッサー)が指示を出し、2航士(セカンド)が、ウィンドラス(錨やロープを巻き出しする装置)操作します。

自衛隊時代は常にブリッジで仕事をしていたので、ここに慣れるのが一番大変でした。

ミルちゃん

ひとりひとりがしっかりしていないといけないのね

ひこやん

そうなんよ~ボケっとしとったらいけんのよ~

訓練(操練といいます)は、月に1回1つだけやります。

この月はこの操練をやるという感じです。

種別は、戦闘以外は護衛艦と同じです。

内容は、全く違います、海域の状況によりますが、なにか非常事態が起きたら、緊急停止してみんなで対処します、人が少ないのでそうせざるを得ません。

上下関係は、ほとんどありません。

当然、船長はボスですが、みんな互いを尊重して、下の人を雑に扱ったりしません。

船長もトイレ掃除しますし、暑い中ペンキ作業もします。ほぼ平等です。

対人関係は、仕事以外は他人に干渉しません。

仕事が終われば各々が自由です。

書類関係は、全員が担当してることはないので、一部の人のみです。

当直(以後ワッチ)以外の時間に終わらせる量です。上陸したいのに、書類が~ってことはありません。

生活面

護衛艦 現在
(749t型貨物船)
 4か所の大部屋
士官は艦長以外2人部屋
部屋の数 全員1人部屋
洗面台、冷蔵庫、TV、レコーダー付)
 風呂:3か所
トイレ:3か所
洗濯機:6台
乾燥機:5台
風呂、トイレ、洗濯機等 風呂:2か所
トイレ4か所
洗濯機:2台
乾燥機:2台
 毎日19時から全員で
点検(巡検)あり
掃 除 1人で日替わり
表にチェックするだけ
 停泊当直以外の人のみ
時間制限あり
上 陸 停泊当直なし
無制限(無人にはしない)
出港がない期間の土日や代休日休 暇 60日乗船(その内、数日休養日あり)して
20連休
決められた区域
それ以外は要申請
休暇中の行動 どこにいようが、なにをしようがOK
 航海中は使用禁止(改善されつつある)
停泊中も勤務中以外のみ
乗船中の携帯の使用 無制限(Wi-Fi付)
禁止
海外派遣中は許可された場合のみ
飲 酒 毎日好きなだけ
(ワッチ前にアルコール検査あり)

護衛艦

部屋は大部屋で、各部屋30~40人います。

そこにはTVやレコーダーが1~2台、シンクと冷蔵庫が1つのみです。常にベッドメイクして物はロッカーにいれて、毎日点検されます。

風呂場は、5つくらいシャワーがついてて浴槽は2人入れる大きさです。

トイレは、小便器4つ大便器4つくらいです。

風呂もトイレも時間によっては並びます。

洗濯もしていい時間帯が決められているので、ものすごく混雑します。ボードに名前を書いて順番待ちしますが、タイムリミットすぎたら、洗濯できません、ご利用は計画的に、です((+_+))

休暇中は、一定の区域から出る場合は、申請して許可が下りないと出れません。

思いつきで、明日からUSJ行こうっ!絶対ダメです。SNS投稿からバレて処分を受けた人もいました。

海外旅行は、相当前から申請しないといけないのでもっと面倒です。行ってはいけない国(行けてもその後なんらか影響する)もあるみたいです。

休暇中も誰がいつどこにいる、ということも船は把握しておかないといけません。

携帯電話の使用も、規則を守らなければ処分の対象です。船で仲間との思い出作りでカメラでイエ~イ、パシャッも処分されます。

ひこやん

生活環境もヒドいよのぅ
休暇中くらい自由にしたいわぃ

現在(749t貨物船)

部屋は1人部屋で、洗面台、クローゼット、デスク、ソファ、ベッド、TV、レコーダー、冷蔵庫と充実してます。

護衛艦とのギャップがありすぎて快適すぎます。

嫌なことや嫌な人(いないけど)から離れられます。1人の時間はとても大切です。

食事も食堂はありますが、自分の部屋でYouTubeやアマプラ観ながら食べてます。

風呂等もそれぞれワッチの時間が違うので、被ることがありません。

上陸は仕事が終わったら、なにをしようが自由です。

ただ、食事は自炊なので、買い出しは自分で行かないといけません。

水やコメなど重いものを買うときは、みんなでタクシーに乗っていきます。買い出しは、荷役中(荷物を積んだり揚げたり)も行けます。

先輩から「よーし飲みに行くぞ~」とかありません。

休暇は、本船は基本60日乗船して20日休暇です。

乗船期間が長引くと、そのぶん休暇も延ばしてもらいます。

ある人が乗船したら、次の人が休暇で下船する、の繰り返しで休暇がうまく回っているので、本船はいい船です。

ココがいい船とそうじゃない船の違いです。就職するときの条件として、報酬と並ぶくらいの判断材料です。

休暇中もどこにいようが、なにしようが自由です。

乗船日は休暇が終わりそうな5日前くらいに会社から何日にどこどこで乗船するよう連絡がありますので、支障がないようにすれば、なにしてもオッケーです。

去年は海外旅行にいきました。会社に申請とかいりません。

飲酒も仕事に支障がない範囲で、毎日飲めます!家族にとやかく言われることもありません(笑)

ひこやん

自由だ~!

終わりに

自衛艦と民間船は、同じ船ですが、なにもかも違い、お互いなにをしているか知りません。

退職する際に、こうらしい、ああらしいと、らしい話をされてましたが、98%違いました。

やはり、なにも知らない人の話は、結局「らしい」で終わりです。

私は、転職したおかげで両方を知ることができたので、これからいろんな情報を発信して、船に興味を持ってくれる人が増えていったら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

⚓当ブログにはアフィリエイト広告が含まれます。