「このまま続けていいのだろうか」
誰もが一度は考えたことがあるはず。
海上自衛官の同僚の多くも、この悩みを抱えています。
そして、中途退職者の増加や新入隊員の減少から、海上自衛隊員の著しい充足率の低下は、深刻な問題になってます。
私が退職した後、乗組手当が上がったり、号俸の改訂で給料が上がったと聞きました。
そして体力測定の基準も下がった?(これから?)と聞きます。
定年もこれからどんどん伸びていくでしょう。
少しでも辞める人を減らそう、少しでも新入隊員を増やそうと、いろいろ考えて対策を練ってますが、果たしてソコなんでしょうか。
以下の記事は、私が感じた「ここがヘンだよ海上自衛隊」です。
批判に聞こえるかもしれませんが、これが現状です。
決して「秘密」に関するものはありません。
入隊時に誓った「服務の宣誓」にすべてが含まれている。
服務の宣誓とは
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法および法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」  自衛隊法施行規則 第39条
ものすごい内容で、読むだけで背筋が伸びます。
入隊直後に、「自分はこれを誓って、お国(国民)のために捧げます」と自らサインしますが、サインしたくなくて帰る人もいます。
今思うと、逆にその人たちのほうが、よく読んで考えた結果、自分にはできないと真面目に判断したのだなと思いました。
心身を鍛え、とはなんだったのか
YouTubeでよく映るのは、腹が出てパツパツの制服を着ただらしない隊員。
「真っ白い制服でかっこいい~」ですか?
心身を鍛えてない、職務放棄した隊員です。
身体を鍛えるのも仕事です、鍛えろと厳しくしたらパワハラですって…。
宣誓文に誓って、自分を律して心身を鍛えてる人が、これをやりなさいと厳しくしたら処分され、仕事をしていない隊員がなにくわぬ顔でだらけた生活をしている。
これどうなんですか?
一致団結、厳正な規律を保持するということ
危険と隣り合わせだから、なにかを教えるにしても真剣にやるし、危ないなと思ったら口調も厳しくなる。
それがあって「あっこれは、やっちゃダメなんだ」「ここは注意してやらないと」と覚えたものです。
指導やキツい仕事の命令さえできない時代、教えるとパワハラと言われるので、なにも教えず全部自分でやる上司、そしてその背中を見ない部下…。
この先どうなるでしょうか。
命張ってる仕事は、一般世間と同じじゃ務まらないのです。
事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努めるということ
宣誓文の最後ですが、自衛隊員は、危機が迫ってる状況に対応できるように、普段から訓練をしています。
しかし、この現状で実際にそういう場面に遭遇したときに、どうでしょうか、部下に遠慮してやさしい口調で指示、命令するのでしょうか?
普段から厳しくするところは、厳しくしておかないと、いざというときに部下は動けないのではないでしょうか?
最悪、死なせてしまうかもしれません。
常に厳しくする必要は全くありませんが「厳しく教える時代ではない」と一言で片付けていいのでしょうか?
最後に
「真面目なやつほどバカを見る」
これは、とても残酷な現状で、このワード見るだけで、やる気がなくなってきますよね。
海上自衛隊だけでなく、いろんな世界にも通じるのではないでしょうか。
仕事をしてもしなくても、給料はそこまで変わらないですし、部下に階級を抜かれても、自分はいつまでも同じ仕事だけして、入隊は自分のほうが早いからと偉そうにしている。
仕事してなくてもクビにはならないし、悪いことしない限り、左遷されることもないので、甘えた人がたくさんいます。
バカだったのは俺だったのか
私は海上自衛官を約20年、真面目にコツコツと当たり前のことを当たり前にやってただけですが、それが艦長(企業でいう支店長)や分隊長(部長)に評価されて、階級も早く、職場でも重要なポジションを任されていました。
時代の変化にもうまく対応し、自分でいうのもあれですが、部下からの信頼もあったと思います。
ときに悩むことはありましたが、それなりに楽しく、このまま定年まで勤めて定年後に民間船に乗ろうと考えていました。
しかし、最後に出会った上司は、とんでもない人間でした。
